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Welcome to Yuzaki Lab
    慶應義塾大学医学部柚崎研(神経生理学)では「神経活動や環境の変化が、どのようにして記憶・学習を引き起こし、どのように神経回路網そのものを変化させるのか」というテーマに沿って研究を行っています。詳しくはこちら
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2023

■蝸牛に発現するBai3は聴覚機能に重要な働きをする(Int J Mol Sci)2023.12.4
Saegusa C, Kakegawa W, Miura E, Aimi T, Mogi S, Harada T, Yamashita T, Yuzaki M, Fujioka M. Brain-Specific Angiogenesis Inhibitor 3 Is Expressed in the Cochlea and Is Necessary for Hearing Function in Mice. Int J Mol Sci 24:17092 (2023).

哺乳類の内有毛細胞は、蝸牛内で音を電気信号に変換することいよって聴覚機能に不可欠な働きをします。内有毛細胞と外有毛細胞の間に位置する「ピラー細胞」は、外有毛細胞が伝える体液振動と、基底膜の振動を取り込むことで周波数特異的な音の知覚につながっていると考えられていますが、ピラー細胞の発生や維持のメカニズムは不明でした。この研究では、接着型Gタンパク質共役型受容体Bai3が成体マウスではピラー細胞に発現しており、Bai3ノックアウトマウスではピラー細胞の異常形成とともに聴覚障害がみられることを見出しました。これらの結果は、Bai3がピラー細胞機能を介して正常な聴覚機能に寄与することを示唆しています。本研究は、慶應耳鼻科から北里大学に異動された藤岡先生、三枝さんとの共同研究の成果です。

■C1ql1-Bai3シグナリングは成熟後の登上線維の再シナプス形成を制御する(Mol Brain)2023.7.25
Aimi T, Keiko Matsuda K, Yuzaki M. C1ql1-Bai3 signaling is necessary for climbing fiber synapse formation in mature Purkinje cells in coordination with neuronal activity. Molecular Brain 16:61 (2023).

小脳プルキンエ細胞は幼若時には複数の登上線維とシナプスを作りますが、発達期に1本の登上線維を除いて不要なシナプスが刈り込まれます。この論文では、登上線維:プルキンエ細胞が1:1の支配様式を確立した成熟小脳において、C1ql1やBai3の発現量を増加させると、再びプルキンエ細胞が複数の登上線維とシナプスを作ること、登上線維は通常は前後方向に分岐するが、新たに作られるシナプスは内外方向に分岐する枝に由来すること、そして登上線維やプルキンエ細胞の電気活動が存在することが新しいシナプス形成に必要であることを発見しました。GluD2グルタミン酸受容体を成熟後にノックアウトした折にも、複数の登上線維の内外方向の分岐がプルキンエ細胞と再びシナプスを作ることが知られていますが、この現象もC1ql1-Bai3シグナリングに依存していることもわかりました。

■Rab21はカベオリン-1を介したエンドサイトーシスを制御し未熟な神経突起の剪断を促進する(EMBO Rep)2023.1.25

Shikanai M, Ito S, Nishimura YV, Akagawa R, Fukuda M, Yuzaki M, Nabeshima YI, Kawauchi T. Rab21 regulates caveolin-1-mediated endocytic trafficking to promote immature neurite pruning. EMBO Rep. e54701, 2023. doi: 10.15252/embr.202254701
膜貫通型タンパク質はクラスリンおよびカベオリン依存性のエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれる。両経路は初期エンドソームに収束し、共通の制御因子として低分子量GTPaseであるRab5を持つと考えられている。しかし、本論文では、クラスリンとカベオリンを介したエンドサイトーシス経路は、初期エンドソームにおいて並行して進行し、それぞれ異なる分子制御と生理的機能を示すことが明らかにした。本研究は柚﨑研で行われた鹿内さん・川内さんの仕事をさらに発展させたものです。