教授 柚崎通介
myuzaki@keio.jp
2024年のご挨拶:
2024年度いっぱいにて慶應義塾大学医学部での定年を迎えます。本年の大きな目標としては、これまでの研究―特に国からの大きな支援をいただいてきたCREST研究(オプトバイオ)、特別推進研究(シナプス接着構造)で進展してきた成果を論文として世に問うていくことです。
2025年度以降も別の形で研究室を運営させていただくことになりそうですが、これについてはもう少し明確化した時点でご報告させていただきます。研究の内容としては、脳の神経回路を構成するシナプスが形成・成熟・除去される機構を、分子レベルで引き続き解明を進めます。多くの精神神経疾患はシナプスの数や機能の異常で引き起こされる「シナプス病」であることが分かってきていますので、シナプス形成・成熟・除去過程の理解に基づいた新しい治療法の開発に繋げていきたいと思います。同時に、これまで中枢神経系のシナプスで培った技術基盤を活かして、末梢神経系でのシナプス形成・維持機構の解明を進めます。
ご存知のように2022年10月に慶應義塾大学は世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)「ヒト生物学-微生物叢-量子計算研究センター(Bio2Q):本田賢也拠点長」に採択されています(柚﨑はBio2Qの拠点長特別補佐を務めます)。また2022年にムーンショット(健康寿命伸長に向けた腸内細菌動作原理の理解とその応用:本田賢也代表)にも採択されました。それぞれ柚崎研は、脳腸相関研究チームを率いる重要な役割を果たします。今後7-10年間続く研究費です。
2022年12月には国際先導研究にも採択され、今後、7年間にわたりフランス(ボルドーIINS:Interdisciplinary Institute for Neuroscience)、アメリカ(Max Planck Institute for Neuroscience)と日本(慶應大学・京都大学・東京大学・新潟大学・遺伝研)が連携することによって記憶研究を進展させていくことになりました。
2023年の教室人事としては、会見君が学位を無事に取得し、学術振興会特別研究員(PD)として東大・北西研に異動しました。
柚﨑は2023年3月に内藤記念科学振興賞を受賞し、11月に紫綬褒章を受章しました。これまで一緒に研究を楽しみ、かつ支えていただいた歴代の研究室の皆さんや共同研究者の先生方に深く感謝致します。2023年6月に日本神経科学学会会長、10月に慶應義塾大学大学院医学研究科委員長の任期を追えました。一方、10月から新たに日本学術会議会員および基礎医学委員会副委員長に任命されました。引き続き日本の基礎科学の発展と次の世代の研究者の育成に貢献したいと思います。
今後もより一層のご指導ご鞭撻をお願い致します。
—-以下いつもの自己紹介—–
好きなこと:
・科学的なディスカッション。
・本屋と文房具屋でうろうろすること。
・読書(濫読)。吉村昭・塩野七生・米原万里・門田隆将・佐藤優を読み尽くしました。
・おいしいものを食べること。体重は単調増加中で、悩みの種です。
嫌いなこと:
・形式と建前。「本音」が良いですね。
・わさび漬け。らっきょう。
・ 頭髪の減少傾向。
エッセイもご参照下さい。
朝日新聞アピタル「神経細胞の美しさと不思議さ 本当に役立つ研究へ」はこちら。
慶應義塾大学医学部・特集「途切れた神経回路をつなぐ物質「CPTX」の誕生が導く未来」はこちら。
2022年3月三田評論での座談会「脳科学研究の最前線」はこちら。
ゑれきてるインタビューはこちら。
履歴書はこちら。